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竹内昌義(みかんぐみ) マニュエル・タルディッツ(みかんぐみ) 聞き手:濱野慶彦(AALab) 「みかんぐみ」設立の経緯 (濱野)今日はネットワークコラボレーションに関してお話を伺いに来ました。まずは「みかんぐみ」設立までの経緯を教えて頂けませんか。 (竹内)今から3年余り前になりますが、「NHK長野放送会館」のコンペに参加して、幸いにも1等案に選ばれました。それを期に、95年に「みかんぐみ一級建築士事務所」を加茂、熊倉、曽我部、タルディッツと私の5名で共同設立しました。 (濱野)NHKのコンペ以前に、何かメンバー間で一緒に仕事をなされたことはあったのですか。 (竹内)そうですね。
(タルディッツ)メンバー全員でという訳ではありませんが、何人かとは共同で仕事をしたり、コンペに参加したことがあります。(竹内)メンバーそれぞれがインフォーマルなかたちでは知り合いでした。 (濱野)コラボレーションという意味では、以前からそうした経験がお互いにあったということになりますね。 (タルディッツ)そうです。 コンピュータ利用環境 (濱野)一応ネットワークコラボレーションということなので、初めにコンピュータの環境をお尋ねしておきます。 (竹内)コンピュータは全てマッキントッシュです。8500/120が2台、8100/100が3台、7100/80/6100が各1台あります。その中の8100/100をサーバーにしてみんながイーサネットで繋がっています。また、それがインターネットとも接続され、ホームページも開設しています。 (濱野)利用しているソフトはどういったものですか。 (竹内)MiniCad、FormZ、Photoshopなどと事務系ソフトです。ネットワーク関係では、EudraやNetscape、PageMillを使っています。 (濱野)図面に関しては、そうすると全てCADで描かれている訳ですね。 (竹内)スケッチなどは除いてですが、100%CADを使っています。 コラボレーションの動機 (濱野)先ほど「みかんぐみ」設立以前にも、コラボレーションの経験があると伺いましたが、コラボレーションの動機についてお聴きしたいのですか。 (竹内)コンペに参加する場合、単純にマンパワーの問題だけではなく、グループでやることのメリットがあると思います。 (タルディッツ)プログラムの分析や問題解決の方法など、お互いに意見交換することで多様なアイデアの展開が可能になります。 (竹内)それにメンバーの資質なのでしょうが、コラボレーションに対する抵抗がないということも上げられますね。 コミニュケーションの方法 (濱野)具体的なコラボレーションの進め方を教えて下さい。 (竹内)NHKのコンペを例に上げると、その時点ではメンバーが別々の活動拠点を持っていたので、電話、FAX、電子メール、それにフェイス・ツー・フェイスの打合せなど、様々なコミニュケーション手段を使って検討を進めました。また、内容によっては図面や面積表などのデータを通信でやり取りすることもありました。そうしたデータの匿名性が作業自体を軽いものにしたように思います。 (タルディッツ)初めの頃の打合せは、直接コンペとは関係のないことばかりを話していたような気がします。コンペの後半の忙しい時期でも、半分は関係のない話をしていましたが、そうした何気ない話がメンバー間の相互理解の上で潤滑剤となったともいえます。 コラボレーションのプロセス (濱野)案の検討や設計作業はどのように進められたのですか。 (タルディッツ)打合せごとにメンバーがそれぞれ案を持ちよる訳ですが、いろいろな可能性を探りだして、それらの全てを分析的に検討することで、徐々に方針が収斂していくようなかたちです。どちらかというと、話し合いで具体的な建築の構成を決定することは少なくて、多くは考え方を整理して、どういった可能性の検討が必要なのかを確認するといった感じです。 (濱野)なるほど。 (竹内)出された案のそれぞれについて、製作者や時間軸をできるだけ除いて、並列的に検討します。その中から相対的にリアリティーがあり、発展の可能性が高いアイデアを選び出していく訳です。 コラボレーションのメリット (濱野)コラボレーションのメリットはどんな点ですか。 (タルディッツ)そうですね。それぞれの案がテーブルにのることで相対化され、客観視できるようになることでしょうか。それに複数の視点からの検討を加えることが可能になり、参照のフィールドが広がるということもいえます。 (竹内)1人で検討していたのでは行き詰まってしまうこともありますが、話し合いをするなかで思わぬ道がひらける場合もあります。 情報の共有化と役割分担 (濱野)逆に、コラボレーションを行う上で難しい点は。例えば、メンバー間の情報の共有化や役割分担などですが。 (竹内)情報の共有化については、打合せや、こうしたインタビューには出来るだけ全員が出席するようにしています。たまたま出席できなかった者には、打合せ記録などをメールで送る場合もあります。 (濱野)メンバー間の情報の偏りを少なくする訳ですね。 (竹内)そうです。それと役割分担ですが、そうした役割を固定化することは、徹底して避けるようにしています。全員が出来るだけニュートラルなかたちで、プロジェクトに関われることが望ましいと思います。 コラボレーションとオリジナリティ (濱野)コラボレーションと個人の問題は如何でしょう。 (タルディッツ)そうですね。メンバーがそれぞれ独立した個であると同時に、コラボレーションをすることで持ちうる、グループとしての個性が作り出だせると考えています。 (濱野)署名についてのルールはありますか。 (竹内)グループとしての活動について対外的に提出されるものは、テキストも含めて「みかんぐみ」の名前で出すようにしています。 (濱野)「みかんぐみ」のグループとしての個性やオリジナリティとはどういう点でしょうか。 (竹内)設計活動に限らず、全てのものは個人のオリジナルの創作物としてはありえません。そこには必ず様々なレベルでのリファレンスが存在します。そうした様々なリファレンス、例えば技術やイメージ、手法などの膨大な知見の中から、選択(サンプリング)し、編集(エディット)する、その方法にオリジナリティがあるのではないかと考えています。つまり選択するための評価軸が複数並列していて、その評価軸どうしが微妙な力関係でお互いに影響を及ぼしあっている。そうしたことがオリジナリティといえるかもしれませんね。 ネットワークコラボレーションの可能性 (濱野)ここまでは主にコラボレーションについてのお話を聴いてきたのですが、ネットワークコラボレーションに関しては如何ですか。 (竹内)過去にメールのやり取りでアイデアの検討や意見交換を行ったことはありますが、まだ本格的なネットワークコラボレーションといえるものは行っていません。 (タルディッツ)勿論、データやメールのやり取りなど、コミニュケーション・ツールとしてはネットワークを大いに活用していますが。 (濱野)ネットワークコラボレーションの可能性についてはどうお考えですか。 (竹内)どうしても、直接話し合うことでのインターラクションが重要になってしまうのですが、そうしたインターラクションが可能なシステム、例えば簡単で使いやすいテレビ会議システムなどが出てくれば、ネットワークコラボレーションの可能性も広がってくると思いますが。 (タルディッツ)ただ、ミーティングのスケジュール調整など、時間や空間の物理的な制約も感じているので、バーチャルな方法を使って、フィールドを広げたいという欲求もあります。 (竹内)今は殆どの設計情報がコンピュータという媒体のなかを行き来している訳ですが、私たちの目的はあくまでもリアルな建築をつくることです。設計がバーチャルな媒体の上で行われることで、逆に建築というウエットなものを突き放して考えられ、ある種の距離感をもって捉えられるようになりましたが、突き放しきれない曖昧さが残り続けるような気もします。 (濱野)どうも今日は長時間にわたってお付き合いいただき、ありがとうございました。 (1998年4月2日) 「みかんぐみ」ホームページ http://www.mikan.co.jp/ |